駄文ですが・・・

Category:雑談

2017.07.06

「起きて半畳寝て一畳、天下とっても二合半」と言う言葉があります。「幾ら広い場所(家)があっても人が一人で占める面積はそんなものだし、一回に食べられる量も限りがある、欲張るな。」と言うような意味に使うわけですが、畳の大きさと言うのが如何に日本人に定着しているかと言うことと同時に、畳が日本人の体の大きさにぴったりの単位であることが判ります。長さが一間、横が半間という単位も日本人には感覚的に判ります。要は尺間法というものが体から導き出した単位であることが想像できます。更に坪という単位もほぼ畳2枚と言うことで、誰にでも広さが実感できます。それに比べてメートルと言う単位は赤道の1/10000000という“想像上の”単位なので、直感的に感じるものではありません。考えてみれば、このように体に直結した単位を持つ日本人と言うのはすごいことだと思えるのです。
最近はマンションから畳が消えつつあり、リフォームをしても殆どが洋室です。
「ナントカと畳は新しいほうが良い」と言いますが、新畳の匂いは本当に良いものです。和室と言うのは多用途に使えて、狭い住居でも使い勝手の良いものです。
最近は海外の旅行者に和風の旅館が人気と言うことも聞き及びます。和室の良さが見直される日も近いかもしれません。

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筆者が駆け出しの頃、設計事務所で新築住宅の設計の担当にしてもらい、張り切って収納家具類を初めとして、作り付け机、ベンチまで計画しました。
一通りまとまったところで、自信を持って上司のチェックを受けに行ったところ「君は偉いんだね。住む人の生活まで決められるのだから」と言われ、ショックを感じたことを時々思い出します。

日本を代表する建築家、安藤忠雄さんの『住吉の長屋』という名作があります。日のあたらない、うなぎの寝床のような長屋の中心を吹き抜けの中庭として、採光通風を確保した画期的な建物ですが、雨の降った日にはトイレに行くのに傘をささねばならないという大欠陥(?)があります。勿論、この建物の価値の前にはそんな事は些細なことなのでしょう。しかし、設計者が施主の理解を怠たった場合、住んでから「欠陥住宅だから賠償しろ」と主張されたらどうなるのでしょう?価値観の違いで設計者が負ける可能性すらあります。設計を手がける人間は自己満足に陥りがちですが、お客様には異なる視点もお話して、ご理解とご満足を得たいと常々考えています。