ヌックのある暮らし

Category:

2024.10.25

 皆さん『ヌック』という言葉をご存知ですか?

ヌックとは住まいの中の居心地が良いこじんまりした場所のことです。スコットランド語のNeuk(ヌーク)が語源となっていて、家の中のちょっとしたスペースでつくる温かく居心地の良い空間のことをヌックと言います。

 

ヌックは2〜3畳ほどの比較的狭いスペースでつくられることが多いのですが、形や大きさ、用途には決まりがありません。ヌックに必要な要素は隠れ家のようなおこもり感があることです。壁やドアで仕切らずに、段差や素材の違いなどでゆるやかにゾーニングします。個室とは違って家族みんながフレキシブルに使えるのがヌックの魅力です。

 

 

Minimalist Modern Interior Design with Wooden Elements and a Window Seat

 

リビングの一画にヌックを設ければ、家族が同じ空間の中で過ごしていても、くつろぎの自分の時間をつくり出せます。プライベートルームのような個室ではないため、誰かの専用のスペースになりにくく、家族の誰もがヌックを使うことができます。

 

 

廊下などパブリックな空間に設ければ、それぞれが好きなときに好きな用途で使えます。廊下のヌックはリビングに作るヌックに比べてプライベート感があり集中しやすいので、お昼寝やワークスペースとしても大活躍です。ライフスタイルの変化に合わせて気軽に使用用途を変更していくこともできます。

 

 

 

 

 

そうはいっても、ヌックを造作するためには、小スペースとはいえ、ある程度の面積が必要となります。デッドスペースをヌックにするのであれば問題ありませんが、居室が狭くなったり収納が足りなくなったりする場合があります。ヌックをつくることにより大切な生活空間の居心地が悪くなってしまっては本末転倒です。

 

 

どのように使うのかイメージをしましょう。

デザインが素敵だからという理由だけでヌックを作ってしまうと、結局使う機会が減りただの物置スペースになってしまうことも…多様な使い方ができるといっても、どんな使い方をしたいのかイメージしておくことはとても大切です。「いつ、どんなときに使うのか」をイメージして、暮らしのイメージができたなら、きっと素敵なヌックが出来上がります。

大切なのはヌックを作ることではなく、毎日過ごす場所が少しでも心地いいものになることです。家の間取りや暮らし方に合わせた「心地いい」を見つけましょう。

 

 

ヌックをつくるポイント

 

 

①環境を整える

ヌックをつくる時に気を付けなければならないのは通気性です。空気のとおりが悪く、こもってしまうような場所はヌックの設置場所としてお勧めできません。ヌックを心地いい場所にするために、設置する場所の環境を整えることはとても重要です。快適な隠れ家として利用するためにヌックは湿気がこもりにくく、くつろげる場所につくりましょう。

 

 

②照明やコンセントの位置を考える

ヌックをより快適な空間にするために照明選びは大切です。リビングより少し照明を暗くしたり、間接照明で落ち着いた空間を演出すれば、心地いいくつろぎスペースに。作業スペースとして活用する場合には手元を照らす照明やコンセントなどの位置を考慮し、快適なワークスペースに。使い方に合わせた照明プランやコンセントの位置を検討して使い勝手の良いヌックスペースをつくりましょう。

 

③サイズや素材にこだわる

ヌックは広すぎず、狭すぎず居心地のいいサイズ感でつくりましょう。壁や扉でかっちりと仕切るのではなく、素材や内装、床の高さや天井の高さを変えてゆるやかにゾーニングすることで、おこもり感がありながら一体感のある空間を演出できます。 床を小上がりにしてみたり、入口開口をアーチや三角にしたりすることで、遊び心をプラスしながらデザイン性を高めることもできます。お手軽に壁の色や床の色をヌックのスペースだけ変えてみるだけでもゆるやかなゾーニングになります。ヌックは同じ空間に存在しながらもハッキリと周りとの違いをつけるのがポイントです。

 

 

 

マンションの柱型や梁型の影響でうまく使えていないデッドスペースがあったり、一部屋つくるほどでもないけれど、少しだけプライベート空間が欲しいなどのお悩みがある方は、てはじめにヌックのある暮らしを想像してみませんか?